2009年9月9日〜11日                                                                                            花の写真はこちら

 
大清水−尾瀬沼−見晴−尾瀬ヶ原周遊−尾瀬沼−大清水(尾瀬)
 
天候 
初日   晴れ
二日目 午前中特に早朝、時折強い雨 午後は曇り気味
三日目 朝方曇り その後晴れ
 
コースタイム 総計40K。
 
初日
8:10大清水−9:00一ノ瀬−10:25尾瀬沼ヒュッテ−11:30沼尻
−12:50見晴15:00−15:40東電小屋−16:20見晴
 
二日目
6:50見晴−7:30竜宮小屋−8:20牛首分岐−9:10ヨッピ橋
−20東電小屋−9:55見晴11:00?−12:50沼尻
−13:40尾瀬沼テント場 夕方平野家の墓訪問
 
三日目
6:45尾瀬沼テント場−7:35三平峠−8:20一ノ瀬−9:20大清水
 
道の状況
三平峠から、九割以上木道歩き。雨後はよく滑る。木道は硬いので、足が痛くなる。
 
大清水
がらがらだった。
 
見晴
燧小屋にて受付。800円。水はトイレとか。
テントはそれなりに張れるが、トイレや休憩所付近はモーター音が少しうるさい。
ビール500が600円。原の小屋に無料休憩所あり。
カレー大盛り900円。(じゃがいも、にんじんが大きい。)
 
尾瀬沼テント場
原則予約制。30張りほど。800円。
木の立派な台の上に張る。ペグはほぼ使用不可。
 
 
 
写真 記録
 
当初二日目に至仏山−鳩待峠−アヤメ平−見晴の予定だったが、想定外の悪天で
尾瀬ヶ原周遊に変更。
 
初日
唐松の気持ちのよい道を進み、大清水に着く。
秋晴れの気持ちのいい空の下、一ノ瀬への林道を歩いていく。
この道は3Kで、実は400Mの標高を稼いでいる。
緩い登りが延々と続く。木々に日差しが遮られ、快適だ。
予想より楽に一ノ瀬につく。
今年GWに訪れたときは閉店していた売店に、かき氷の赤い暖簾がかかっていた。
一ノ瀬で一服したあと、登山道に入っていく。
 
左手の清い沢の流れを見ながら緩く登っていき、丸太橋を渡ると、次第に傾斜が
きつくなってくる。
途中水場があり、自宅の水道水と入れ替えるが、やはりうまみが違う。
広場のベンチを過ぎると、道は九十九折になり高度を稼ぎ出す。
南には三角定規のような四郎岳の姿が見事だ。西に見えているのは、富士見峠
方面の山並みだろう。
 
 
木道の傾斜が緩やかになると、気づけば樹層はコメツガの林に変わっていた。
GWのときとは違い、道は間違えようがない。
三平峠には、気づけばついていた。
木道に従って尾瀬沼へ下っていくが、明らかに冬道とルートが違う。
結構歩くな、と思い始めた頃ひょいと尾瀬沼ヒュッテに到着した。
木々の間から、尾瀬沼の水面と緑のこい燧ケ岳。
「よお。また来たぜ」と自然に口から出た。
 
 
沼尻へ向かう。
木道の細かいアップダウンが続くが、どんどん燧ケ岳の姿が大きくなっていく。
途中富士見峠への分岐を見た。道は駆り払われた後のようだが、人が多く通っている
雰囲気ではなさそうだ。
しばらくで、明るい草原に飛び出す。目の前には燧ケ岳が大きい。
アキノキリンソウやトリカブトなど、尾瀬の花の最後を彩る花々を楽しみ
ながら歩くと、沼尻の分岐に着いた。
 
     
 
小屋のトイレは使用中止になっていた。
分岐からしばらく歩くと、また明るい草原に飛び出す。
ここで、コンビニで買った蒸しパンを食べながら休憩。
空は透き通るように青く、雲も高く白い。湿原の水面にも、それらは
くっきりと浮かび上がっていた。
明日も晴れるなあ、と暢気に構えながら木道を行き、途中一登りで
白砂峠に着いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
ここから見晴までは長い緩やかな下りだ。
しかし、木道が硬く足がだんだん痛くなってくる。
水場、沢を横切ると 木道の幅が増す。
ぶなの木の緑を眺めながら下り続けると、見晴新道の分岐に出る。
しばらくで道は二手に分かれ、道標にしたがってテント場のほうに行くと、
燧小屋の前にでた。
さて、受付でもするかと思っていた矢先、水色の美しい羽をもった蝶が風にのって
目の前に現れた。アサギマダラだろう。
その姿を静かにカメラに収め、受付をする。
テント場はトイレも近くにあり、林の中の小さな広場といった感じだ。
とりあえずテントを張る。
 
 
 
 
しばらく昼寝をしたあと、時間もあるので尾瀬ヶ原を少し歩いてみることにした。
とりあえず、東電小屋を目指す。
見晴を一歩でると、そこにはキツネ色に染まりつつある草原と、黄色のキリンソウ、
小振りながら、純白の可憐な花を咲かせるウメバチソウ。
紫色のつぼみをりんと立てたエゾリンドウの花が、木道沿いに咲き誇っていた。
草原のきわみのあたりには、たおやかな至仏山。振り返れば、たくましい燧ケ岳。
 
 
 
 
 
 
 
時々崩壊した木道に足元を注意しながら歩くと、温泉小屋の分岐に出た。
温泉に入れるのだろうか、でも下調べをしていないので、東電小屋のほうへ向かう。
小沢を何本か横切るが、その淵には決まってトリカブトの濃淡とりどりの紫色が
風に揺らされていた。
草原から目の前の林の中に入り、木道がとぎれると、大きな川の流れがあった。
只見川との標識。つり橋から川の流れを眺める。太陽の光を受け、みなもが
銀色に輝く。
またはやしの中に入り、東電小屋の手前で赤い色鮮やかな蛇に出会った。
ヤマカガシだ。しばらく観察していると、こちらに首を回してチロチロ舌をだし、
体をうねらせて再び林の中に消えていった。
 
まもなく東電小屋に着く。小屋で150円のファイブスターコーラを飲み、
一休みした後、往路を戻る。秋風がすがすがしい。
見晴に戻り、無料休憩所でカレーを食べてみた。
パンチこそ薄いが、大きなジャガイモ、ニンジンが入っていて、なにか懐かしい
素朴な味だった。
 
一度テントに戻り、夕刻ごろ尾瀬ヶ原へ再び足をむけた。
風も冷たくなり、上に雨具を羽織る。
至仏山まで続く、木道の連なり。日も傾き、草原のキツネ色が光り輝いていく。
赤色に染まったツツジの葉も、この草原に彩を添える。
 
 
 
 
尾瀬ヶ原の一日の終わり。広大な草原に少しずつ影が落ちていく。
その上を駆ける淡い朱色を帯びた雲。
白樺林の帯の手前でこの光景を眺める。さすがにここまで来る人もいない。
至仏山も山肌も濃いシルエットになるころ、見晴に引き返し始める。
頭にわずかにガスを乗っけた燧ケ岳と足元の花々を眺めながら、テントに戻る。
 
 
 
 
 
10日
 
完全に油断していた。この天気なら明日は晴れるだろうと思っていた。
深夜1時頃だったか、強い風とテントにパラパラとあたる雨の音で目が覚める。
出発予定の朝4時頃、外にでて見るが、相変わらずの強い風と雨。
もう一寝入りするが、空こそ明るいものの相変わらず。
至仏山へとりあえず向かい、天候が回復しなければ尾瀬ヶ原巡りに変更と決めて、
雨具を着込んで、朝7時頃出発する。
 
 
 
 
しっとりと濡れた木道を進む。頭上に青空が見えることもあるが、気づけば黒い雲
と強い雨。目まぐるしく草原の表情が変化する。
 
 
 
景鶴山のほうを見ると、虹が出ていた。光加減で消えたり、色を濃くしたりする。
竜宮小屋を過ぎ、牛首への道を進むも、至仏山にかかった厚い雲は取れない。
きまぐれな雲と光が作り出す光景を楽しみながら歩いていると、牛首分岐に
ついてしまった。
 
 
 
 
至仏山の雲は、むしろ厚くなっていて登る気もなくなり、迷いもなくヨッピ橋のほうへ向かう。
草原のどこに光が差し込むか、半ばその瞬間を楽しみながら歩くと、
目の前に白樺林と熊の警告板が現れる。林の中をしばらくで、ヨッピ橋につく。
丈夫だが、ずいぶんとかわいらしい橋だ。
橋を渡り、草原の中を歩いていくと木道の先に、先日訪れた東電小屋があった。
朝方と夕方では、同じ道を歩くのも表情が違う。
その風景を眺め、温泉小屋分岐付近の木道で一度大転びをかましつつ、見晴に戻った。
 
さて、どうするか?先日とは別の山小屋でラーメンを食べながら考える。
まだ時間も早いし、今日のうちに大清水に下ってしまうことで、意を決した。
雨を吸ったテントをたたみ、出発する。
立派な木道を黙々と歩き、左に見晴新道を見送って、大きな沢を渡る。
すると木道も細くなり、ところどころ登山道のような道になるが、
木道の固さについに足が根を上げ始めたのか、土の温もりが心地よい。
足の痛みをごまかし、一登りで白砂峠に着く。
そこから草原にでると、朝方と違って青空が出ている。
小さな池糖が、青い空と白い雲、力を取り戻した太陽の日差しを映し出す。
このあたりで足の裏の痛みが気になりだし、とりあえず尾瀬沼で様子をみよう
と考え出す。
 
沼尻を通過し、シラビソの中の木道を延々と歩いていく。
途中木道の交換作業をされていた方々を見送り、ようやく長英新道の登山口につく。
やがて草原の一角に導かれ、なんとか長蔵小屋にたどり着いた。
長蔵小屋の前のベンチでカップラーメンを食べつつ、登山靴を脱いで足を揉んでみるが、
これは無理しない方がよさそうと判断し、駄目元でヒュッテにテントの受付に行く。
予約はしていなかったが、どうやら1名しか利用者がいないようで、何の問題もなかった。
今年の春先はシラビソと雪の斜面だったテント場も、訪れてみると区画された
立派なテントサイトだった。
木の台の上のサイトでしばらく横になる。
青い空と白い雲を見上げる。とても気持ちがいい。
 
 
 
 
ようやくといった感じでテントを設営し、しばらく休憩する。
小屋の方が通りすがり、「昨日今日からめっきり寒くなって、小屋でもストーブ
を出した。体調を壊さないように気をつけて」と声をかけてくれた。
 
夕刻頃、以前から気になっていた平野家の墓を訪れることにする。
沼山峠への、登山者数カウンター手前の左手に道があり、小高い丘に導かれる。
そこには尾瀬三代とその御家族の方のお墓と、武田久吉氏の碑があった。
長蔵、長英、チョウセイ各氏の墓石には、詩が刻まれていた。
山に生き、山を守り、そして亡くなった方々。
人は永遠に生きることはできない。
大自然の営みからみれば、ごく限られた時間しか与えられていない。
その時間の中で、人生を山に生きた方々。そしてそれを支えた人々。
この方々のおかげで、この尾瀬の素晴らしい自然が、今に伝えられている。
 墓標にまた頭を下げ、丘を下る。テントに戻る。
明日は大清水へ下るだけ。振り返れば、一つのピークにも立っていない。
この尾瀬でなんと素晴らしい時間を過ごせたことか。
そう考えると、何かをやり残したとは微塵も感じなかった。
 
 
 
 
 
11日
 
目を覚まし、朝方の尾瀬沼と燧ケ岳を見に行く。
雲が多かったものの、風の流れが作った風紋と、日の光が作り出す
尾瀬沼の光景が美しかった。
 
 
テントをゆっくりたたみ、出発する。
途中、燧ケ岳を眺めて「また来るよ」と別れの挨拶をする。
 
 
 
 
尾瀬沼ヒュッテから三平峠の道へ入り、尾瀬沼の水面とも別れを告げる。
木道を緩く登り、三平峠。そしてしばらくで九十九折の下り。
四郎岳。その長い肩に頭を出しているのは、錫ヶ岳だろうか。
 
 
 
 
 
水場で一息入れ、一ノ瀬まで下る。
行きと同じように、青空が頭上には広がっていた。
長い林道歩きも、緩い下りが続き、行きほどはきつくない。
大清水の駐車場に戻ると、まず山靴を脱いだ。
 
 
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